モダンにおける白単【サイドプラン編】
2015年10月24日 TCG全般 前のエントリーにてデッキ内のカード解説は終了しました。それでは実際に仮想敵に対してどのようにカードを入れ替えるか考えてみましょう。
・Tier1 欠片の双子コンボ
対戦相手のサイドボードから紅蓮地獄が投入されることが想定されます。そのため、カウンターサイドボードとして避難所の印を投入し、瞬唱対策に安らかなる眠り、ドロースペル対策に虚空の杯をX=1で準備します。
サイドアウト候補は除去としては重くソーサリーである神の怒り、カードパワーの弱い審判官の使い魔、高コストクリーチャーの思考検閲者などです。
メインデッキで優位となるカードを既に多く選択しており、追加するカードはそれほど多くはありません。
・Tier1 親和
対戦相手のサイドボードから鞭打ち炎が入ってくる可能性がありますが、それ以前に親和の速度についていく必要があります。サイドから火力耐性のある火歩き、追加の除去とアーティファクトを封殺する石のような静寂を入れて対応します。
サイドアウト候補は1/1飛行としての価値しかない使い魔、アーティファクトには制限を掛けられない法学者、神の怒りを重くする可能性があるサリアが抜けます。
・Tier2 感染
とにかく毒を載せられないようクリーチャーを早急に除去していきます。手札との兼ね合いですが虚空の杯X=1で相手の動きを封じることも考慮します。危険なのは荒廃の工作舎、墨蛾の生息地、強大化の3枚です。
サイドからはプロテクション緑の十字軍、追加除去の槍、虚空の杯を。サイドアウトするのは召喚までに時間がかかるセラの報復者と神の怒りです。
・Tier2 死せる生
デッキ内のクリーチャーがほぼ全てLiving Endの妨害能力を持っているため、サイドからは全体除去と墓地対策の追加を行います。虚空の杯はX=0で置くことでLiving Endを打ち消すことができるようになります。
サイドアウト候補は妨害能力を持たないセラの報復者、不要となった単体除去の四肢切断です。相手の鋳塊かじりと内にいる獣が厄介ですが、呪文滑りを利用してかわしてください。また、想起クリーチャーは戦場を経由するため流刑への道を合わせると追放することができることも覚えておくと良いかもしれません。
・Tier2 バーン
高速で出てくるクリーチャーに押し切られない事、火力で本体を焼かれないことが勝つためには必要となります。サイドからはプロテクション赤の火歩き、軽量除去の槍、全体除去対策の避難所の印、X=1で相手のカードをほぼ封殺できる虚空の杯です。
サイドアウトはライフを切り詰めて使う四肢切断と母聖樹、クリーチャー数の少なさから不要と思われる神の怒り、高コストクリーチャーの思考検閲者となります。
・Tier2 Zoo
こちらも高速展開されたクリーチャーを凌ぎ、全体除去までつなげられれば安全になります。各種プロテクション持ちクリーチャーを利用し、火力は避難所の印でかわします。相手のデッキ構成が1マナ域に偏っている場合は虚空の杯も検討します。
サイドアウトはカードパワーの低い使い魔と効果の薄い法学者、ライフの支払いが痛い母聖樹が候補となります。
・Tier2 マーフォーク
フェッチを使わないマナ基盤、クリーチャー展開に薬瓶を多用、広がりゆく海で土地を破壊するところまで全く同じデッキ構築思想であるため、このデッキの天敵ともいえます。
ゲームプランは地上をブロックしつつ飛行クリーチャーで押し切る形となります。そのため、サイドからは地上を守れるクリーチャーと追加の除去を入れます。そして、相手の急所である薬瓶を止める石のような静寂を『あえて』インし、アグレッシブサイドボーディングをします。
こちらのサイドアウトは当然霊気の薬瓶と呪文滑り、また相手の広がりゆく海を自分の幽霊街で壊しやすくするためにレオニンの裁き人を外します。
プレイ時に注意すべきは法学者で、相手から大いなる瑠璃紡ぎ、綺羅が出てしまうとクリーチャーの単体除去が不可能になってしまう点です。その際には永岩城で綺羅を一度対象に取ってから除去を打つようにします。
・精力の護符ランプ
バウンスランドを活用しマナを伸ばす特殊なデッキです。メインから多くの土地破壊が入っているため優位に戦えますが、集団意識を張られると対処ができません。サイドからは梓対策の除去と十字軍を加え攻撃を通りやすくします。
なお、集団意識は呪文のコピーをスタックに直接乗せるので虚空の杯で回避できないことを注意してください。
・白黒緑ジャンク
十字軍と追加の除去、墓地対策を追加します。スペルが少ない傾向があるので使い魔やサリアをサイドアウトすることも検討します。非常に多様な形状をしているため、相手からどんな呪文が使われたのか、また、どのようなプランで勝ちを目指しているのかをよく推測しましょう。
・ジャンド
ジャンク同様のサイドボードになります。こちらは比較的スペルの枚数が多く火力対策も必要となるので大規模な入れ替えとなるでしょう。サイドアウト候補は使い魔、法学者、思考検閲者などでしょうか。
・トロン
基本土地が少ないため、流刑への道や幽霊街が非常によく効きます。また、相手にトロン以外の土地を並べさせることで地盤の際が使用できるタイミングも発生すると思われます。神の怒りと四肢切断、法学者をサイドアウトし、石のような静寂やプロテクションクリーチャー、避難所の印をデッキに投入します。
現在のモダン環境を賑わせているデッキへの対策を駆け足で見てきましたが、これはあくまで一例であり、相手のデッキ、特に相手から使用されたカードをよく確認した上でサイドボードは慎重に選びましょう。1-1からの3戦目、相手から出てきたサイドボードカードに対応するためのカードも、このデッキではどこかに隠れているはずです。戦略を練り直しマリガンの基準も論理的に決められるようになれば最高です。
また、白単デッキは『本日の』メタに合わせて調整された代物、つまり『明日』になればもう古いデッキとなります。もしこのデッキを参考にして大会に出るのであれば、自分の出る大会のメタをしっかり読み切る必要があります。地域メタなどでデッキ構成が大きく変わることも想定されるでしょう。
しかし安心してください。白単にはメタの変遷に合わせた選択肢のある優秀なクリーチャー群、スペル群が待っています。研究を進めればそれだけ多くの良い回答を見つける事ができるようになるでしょう。
最後に、このデッキでは(当然のことながら)相手の手札を見るカードは入っていません。しかし、白単デッキはゲームプランを立てるために『相手の手札が透けて見える』ことを要求します。
それは相手の仕草や目線、手札移動からカードを類推したり、論理的思考から例外を排除することであったり、裏目を回避するためのアクションであったり、エンドカードを構えていないという条件で特攻したりすることにつながります。
ここまでお付き合いいただいた方ならもうお分かりだと思いますが、構築ですら安易な回答を得られないのが白単というデッキの宿命です。これは今後解説するレガシーやヴィンテージでも同じです。
はっきり言って、楽をして勝ちたいのであれば流行の勝ち馬デッキに乗ってください。何故ならそれは環境を支配しているという実績があるから間違いがないのです。
次のエントリーはレガシーにおける白単、いわゆるデスタクについてです。
<メインデッキ>
3 審判官の使い魔
2 呪文滑り
3 エーテル宣誓会の法学者
4 スレイベンの守護者、サリア
4 レオニンの裁き人
4 セラの報復者
3 エイヴンの思考検閲者
3 ちらつき鬼火
4 流刑への道
2 四肢切断
2 神の怒り
4 霊気の薬瓶
4 幽霊街
3 地盤の際
1 すべてを護るもの、母聖樹
1 変わり谷
1 地平線の梢
1 永岩城
12 平地
<サイドボード>
2 コーの火歩き
2 ミラディンの十字軍
1 太陽の槍
1 審判の日
1 避難所の印
3 石のような静寂
3 安らかなる眠り
2 虚空の杯
・Tier1 欠片の双子コンボ
In
1 避難所の印
3 安らかなる眠り
2 虚空の杯
Out
3 審判官の使い魔
2 神の怒り
1 エイヴンの思考検閲者
対戦相手のサイドボードから紅蓮地獄が投入されることが想定されます。そのため、カウンターサイドボードとして避難所の印を投入し、瞬唱対策に安らかなる眠り、ドロースペル対策に虚空の杯をX=1で準備します。
サイドアウト候補は除去としては重くソーサリーである神の怒り、カードパワーの弱い審判官の使い魔、高コストクリーチャーの思考検閲者などです。
メインデッキで優位となるカードを既に多く選択しており、追加するカードはそれほど多くはありません。
・Tier1 親和
In
2 コーの火歩き
1 太陽の槍
1 審判の日
3 石のような静寂
Out
3 審判官の使い魔
1 スレイベンの守護者、サリア
3 エーテル宣誓会の法学者
対戦相手のサイドボードから鞭打ち炎が入ってくる可能性がありますが、それ以前に親和の速度についていく必要があります。サイドから火力耐性のある火歩き、追加の除去とアーティファクトを封殺する石のような静寂を入れて対応します。
サイドアウト候補は1/1飛行としての価値しかない使い魔、アーティファクトには制限を掛けられない法学者、神の怒りを重くする可能性があるサリアが抜けます。
・Tier2 感染
In
2 ミラディンの十字軍
1 太陽の槍
2 虚空の杯
Out
3 セラの報復者
2 神の怒り
とにかく毒を載せられないようクリーチャーを早急に除去していきます。手札との兼ね合いですが虚空の杯X=1で相手の動きを封じることも考慮します。危険なのは荒廃の工作舎、墨蛾の生息地、強大化の3枚です。
サイドからはプロテクション緑の十字軍、追加除去の槍、虚空の杯を。サイドアウトするのは召喚までに時間がかかるセラの報復者と神の怒りです。
・Tier2 死せる生
In
1 審判の日
3 安らかなる眠り
2 虚空の杯
Out
4 セラの報復者
2 四肢切断
デッキ内のクリーチャーがほぼ全てLiving Endの妨害能力を持っているため、サイドからは全体除去と墓地対策の追加を行います。虚空の杯はX=0で置くことでLiving Endを打ち消すことができるようになります。
サイドアウト候補は妨害能力を持たないセラの報復者、不要となった単体除去の四肢切断です。相手の鋳塊かじりと内にいる獣が厄介ですが、呪文滑りを利用してかわしてください。また、想起クリーチャーは戦場を経由するため流刑への道を合わせると追放することができることも覚えておくと良いかもしれません。
・Tier2 バーン
In
2 コーの火歩き
1 太陽の槍
1 避難所の印
2 虚空の杯
Out
1 エイヴンの思考検閲者
2 四肢切断
2 神の怒り
1 すべてを護るもの、母聖樹
高速で出てくるクリーチャーに押し切られない事、火力で本体を焼かれないことが勝つためには必要となります。サイドからはプロテクション赤の火歩き、軽量除去の槍、全体除去対策の避難所の印、X=1で相手のカードをほぼ封殺できる虚空の杯です。
サイドアウトはライフを切り詰めて使う四肢切断と母聖樹、クリーチャー数の少なさから不要と思われる神の怒り、高コストクリーチャーの思考検閲者となります。
・Tier2 Zoo
In
2 コーの火歩き
2 ミラディンの十字軍
1 太陽の槍
1 審判の日
1 避難所の印
Out
3 審判官の使い魔
3 エーテル宣誓会の法学者
1 すべてを護るもの、母聖樹
こちらも高速展開されたクリーチャーを凌ぎ、全体除去までつなげられれば安全になります。各種プロテクション持ちクリーチャーを利用し、火力は避難所の印でかわします。相手のデッキ構成が1マナ域に偏っている場合は虚空の杯も検討します。
サイドアウトはカードパワーの低い使い魔と効果の薄い法学者、ライフの支払いが痛い母聖樹が候補となります。
・Tier2 マーフォーク
In
2 コーの火歩き
2 ミラディンの十字軍
1 太陽の槍
1 審判の日
3 石のような静寂
Out
3 レオニンの裁き人
2 呪文滑り
4 霊気の薬瓶
フェッチを使わないマナ基盤、クリーチャー展開に薬瓶を多用、広がりゆく海で土地を破壊するところまで全く同じデッキ構築思想であるため、このデッキの天敵ともいえます。
ゲームプランは地上をブロックしつつ飛行クリーチャーで押し切る形となります。そのため、サイドからは地上を守れるクリーチャーと追加の除去を入れます。そして、相手の急所である薬瓶を止める石のような静寂を『あえて』インし、アグレッシブサイドボーディングをします。
こちらのサイドアウトは当然霊気の薬瓶と呪文滑り、また相手の広がりゆく海を自分の幽霊街で壊しやすくするためにレオニンの裁き人を外します。
プレイ時に注意すべきは法学者で、相手から大いなる瑠璃紡ぎ、綺羅が出てしまうとクリーチャーの単体除去が不可能になってしまう点です。その際には永岩城で綺羅を一度対象に取ってから除去を打つようにします。
・精力の護符ランプ
バウンスランドを活用しマナを伸ばす特殊なデッキです。メインから多くの土地破壊が入っているため優位に戦えますが、集団意識を張られると対処ができません。サイドからは梓対策の除去と十字軍を加え攻撃を通りやすくします。
なお、集団意識は呪文のコピーをスタックに直接乗せるので虚空の杯で回避できないことを注意してください。
・白黒緑ジャンク
十字軍と追加の除去、墓地対策を追加します。スペルが少ない傾向があるので使い魔やサリアをサイドアウトすることも検討します。非常に多様な形状をしているため、相手からどんな呪文が使われたのか、また、どのようなプランで勝ちを目指しているのかをよく推測しましょう。
・ジャンド
ジャンク同様のサイドボードになります。こちらは比較的スペルの枚数が多く火力対策も必要となるので大規模な入れ替えとなるでしょう。サイドアウト候補は使い魔、法学者、思考検閲者などでしょうか。
・トロン
基本土地が少ないため、流刑への道や幽霊街が非常によく効きます。また、相手にトロン以外の土地を並べさせることで地盤の際が使用できるタイミングも発生すると思われます。神の怒りと四肢切断、法学者をサイドアウトし、石のような静寂やプロテクションクリーチャー、避難所の印をデッキに投入します。
現在のモダン環境を賑わせているデッキへの対策を駆け足で見てきましたが、これはあくまで一例であり、相手のデッキ、特に相手から使用されたカードをよく確認した上でサイドボードは慎重に選びましょう。1-1からの3戦目、相手から出てきたサイドボードカードに対応するためのカードも、このデッキではどこかに隠れているはずです。戦略を練り直しマリガンの基準も論理的に決められるようになれば最高です。
また、白単デッキは『本日の』メタに合わせて調整された代物、つまり『明日』になればもう古いデッキとなります。もしこのデッキを参考にして大会に出るのであれば、自分の出る大会のメタをしっかり読み切る必要があります。地域メタなどでデッキ構成が大きく変わることも想定されるでしょう。
しかし安心してください。白単にはメタの変遷に合わせた選択肢のある優秀なクリーチャー群、スペル群が待っています。研究を進めればそれだけ多くの良い回答を見つける事ができるようになるでしょう。
最後に、このデッキでは(当然のことながら)相手の手札を見るカードは入っていません。しかし、白単デッキはゲームプランを立てるために『相手の手札が透けて見える』ことを要求します。
それは相手の仕草や目線、手札移動からカードを類推したり、論理的思考から例外を排除することであったり、裏目を回避するためのアクションであったり、エンドカードを構えていないという条件で特攻したりすることにつながります。
ここまでお付き合いいただいた方ならもうお分かりだと思いますが、構築ですら安易な回答を得られないのが白単というデッキの宿命です。これは今後解説するレガシーやヴィンテージでも同じです。
はっきり言って、楽をして勝ちたいのであれば流行の勝ち馬デッキに乗ってください。何故ならそれは環境を支配しているという実績があるから間違いがないのです。
次のエントリーはレガシーにおける白単、いわゆるデスタクについてです。
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